翻刻
【右丁】
病(やむ)べきの機(きざし)をおぼへなは
尤 保養(ほよう)すべし頻(しきり)に病(やめ)る
所なくは平生(へいせい)の勤(つとめ)も事
少くし気を養(やしな)ひ飲食(いんしよく)
を節(せつ)し灸治(きうぢ)をかねてや
しなふべし気より生ぜんと
する病(やまいの)機ならば尤かくのご
とく保養怠るへからす薬
を用ひすとも自然と治
すべし頻に病る所あらは
薬治 針(しん)治 等(とう)よろしき
【左丁】
にしたがひ用ゆべし初に怠(おこた)
り病勢 盛(さかん)になりては針(しん)
薬の功(こう)もうすし或は薬治
的(てき)中せざれはかへつて病
勢を増(ま)し或は誤(あやま)り多(おほ)け
れば遂(つゐ)に死(し)を催すにいた
る千 仞(じん)の堤(つゝみ)も蟻【礒は誤】穴(けつ)よりく
づるゝかごとし初にこの害(かい)を
思ひてつゝしむべし遠(とを)き
慮(おもんはかり)なきものは必近き患(うれへ)あり
といへり万事皆かくのごと