翻刻
【右丁】
八味丸を製するに桂附(けいぶ)
あるは腎中(じんちう)の火(ひ)を助(たす)くる
といへとも究竟(ひつけう)【ママ】は脾胃(ひゐ)を
兼(かね)て助(たす)くるの意なり此(これ)
等(ら)の薬もその症(しやう)に的中(てきちう)
するとも米穀(べいこく)のごとく久(ひさ)
しく用ひて害(かい)なきの類(たぐひ)
にはあらず薬品(やくひん)は偏(へん)気の
物(もの)なればなり又 腎水(しんすい)虚(きよ)
して火動(くはどう)するには六味丸
滋陰降火湯(しいんごうくはとう)等の薬剤(やくざい)
【左丁】
を古人(こしん)の立おかれたれとも
是も脾胃(ひゐ)怯弱(くじやく)なるには害
あるべしわきて滋陰降火(しいんがうくは)
湯(とう)は腎水(じんすい)一旦(いつたん)虚(きよ)して脾(ひ)
胃(ゐ)いまだ虚(きよ)せず大便(だいへん)秘(ひ)す
る症(しやう)には用ゆへしその効(こう)
大なり旱魃(かんはつ)に水をそゝぎ
草木を助(たす)くるかごとしすで
に脾胃(ひゐ)ともに虚(きよ)し大便
滑(なめらか)なる症には大に害(かい)あり
これ此 湯(とう)を用ゆるの眼目(がんもく)