翻刻
【右丁】
なりすべて今の人 太平(たいへい)
の世(よ)にありて利欲(りよく)さかんにし
て雑慮(ざつりよ)やむ時なく気滞(きたい)気
虚(きよ)の症(しやう)おほく又 婬欲(いんよく)熾(さかん)に
して腎水(じんすい)をへらし陰(いん)虚
といふも大かたは気 血(けつ)両虚(りやうきよ)
の症(しやう)にして専(もつは)ら補陰(ほいん)の剤(ざい)
を用ゆべきの症にし尤
古人(こじん)医術(いじゆつ)に真切(しんせつ)にして
理(り)を明(あき)らめ気血両虚には
八物湯(はちもつとう)或は大 補湯(ふとう)等の
【左丁】
方を立或は旦(あした)には益気湯(えききとう)
夕(ゆふべ)には六味丸を用ゆる等の
治法(ぢほう)ありていと真切(しんせつ)に微(び)
細(さい)なる意とすべししかれ
とも薬を以(もつ)て不足(ふそく)を補(おぎな)
ひ病を愈(いや)すは一旦(いつたん)の事
にしていまだ虚(きよ)極(きよく)に至(いた)ら
ざるは効(こう)を得(ゑ)飲食(いんしよく)を節(せつ)
にし房労(ぼうろう)を遠(とを)ざけ徐々(じよ〳〵)
によく保養(ほよう)せば快復(くはいふく)すべ
し已(すで)に虚(きよ)甚に至りては