翻刻
【右丁】
あり近世は医(い)たるものも食
療(りやう)を詳(つまひらか)にして施(ほどこ)すものま
れなり疾(やまひ)ある人も病を医(い)
治にのみ任(ゆた)ねて是を弁(べん)ずる
ものもまた稀(まれ)なり故に薬
を用ひて病を治(ぢ)することは
人 常(つね)に重(おも)んずれとも食物(しよくもつ)
を以て身体(しんたい)を養ひ病を治(ぢ)
する事は人常に軽(かろ)んず尤
かなしむべし
▲およそ常(つね)の食物は淡味(たんみ)の
【左丁】
野菜(やさい)の類を以て養ふべし
貴(たかし)きも賤(いやしき)も身を養ふして
足(た)れり飢(うへ)ざるを極とす美食(びしよく)
を好(この)み魚鳥(ぎよてう)酒麪(しゆめん)等を腹(はら)に
満(みつ)るほど食し手足を働(はたらか)さ
ざるは養生の術(じゆつ)にそむきて
短命(たんめい)なり脾胃(ひゐ)よはき生れ
付の人は魚鳥酒など折ふし
用てよしおほく用ゆれは火
たかぶり咽(のど)かはき臓腑(ぞうふ)をやぶ
る賓客(ひんかく)饗応(きやうおう)の膳供(ぜんぐ)は制(せい)