翻刻
【右丁】
やすく実(みのり)うすきがごとし土(と)
地(ち)の精(せい)ばかりにてそだつ草(さう)
木(もく)はたけみじかく茎(くき)ふとく上
つりになきゆへ風雨にもた
おれず虫も喰(くは)ず人も生れ
付のまゝにて魚鳥(ぎよてう)や酒の力(ちから)
をからずして育(そだつ)ものは痩(やせ)
地(ぢ)にして色 黒(くろ)く理(きめ)あらく
皮肉(ひにく)実(じつ)し筋骨(きんこつ)堅(かた)し然る
ゆへ病もなく長命なり酒
食に飽(あき)満(みち)て肥満(ひまん)するも
【左丁】
のは色白く理(きめ)こまかにして皮(かは)
薄(うす)しあまつさへ酒食(しゆしよく)の湿(しつ)
つよく面目(めんもく)うそばれ皮肉(ひにく)ふ
とりて痰火(たんくは)生し中風(ちうぶ)癰疽(ようそ)
下血(げけつ)痔漏(ぢろう)等の病を生す飲
食は人の身命(しんめう)を養ふもの
なれどもおごりて分(ぶん)にすぐ
れは飲食(ゐんしよく)の為に生命(せいめい)を失(うしな)
ふなり古語に禍(わさはひは)従(より)_レ口(くち)出(いで)病 ̄は
従(より)_レ口 入(いる)と実にむべなるかな
味噌(みそ)醤油 酢(す)酒の類は古(ふる)き