翻刻
【右丁】
薬治(やくぢ)に効(こう)なしとすわきて
食治と灸治には心を用ゆ
る人もまれなり病(やめ)る時も
益(ゑき)ある事をしらす適(たま〳〵)用ゆ
る人あれば習(なら)ひてその理に
通(つう)ぜざるより効なきものとし
或は偏僻(しんへき)【ママ】の治法(ぢはう)として一概(いちかい)に
用(もち)ひずしかもその理あるを
ふかく求めざるも疎(おろそか)なり各
その宜(よろし)きにかなひなばいづれ
をか偏(へん)なりとせん只その術(しゆつ)
【左丁】
にくはしからざるぞ本意(ほゐ)なき
食治灸治は治法(ぢほう)の中(うち)尤補
なるものなり薬治(やくぢ)は兵を用(もちゆ)
る類(たぐひ)といへり薬治(やくぢ)針治(しんぢ)と
もに補瀉(ほしや)ありといへどもそ
の補といへるも食用(しよくよう)灸火(きうくは)
を以 補(おぎな)ふには同しからざるへ
し同じくは内(うち)を助(たすけ)て治(ぢ)する
を上策(じやうさく)とすへし薬(くすり)の補と
いふも参茋(じんぎ)の類には過(すぎ)す
針(はり)には瀉(しや)ありて補(ほ)なしともいへり