翻刻
【右丁】
○温泉には病ある人にあら
ずはかろ〴〵しく浴(よく)すべからず
もし温湯(おんとう)にいりて後 虚憊(きよひ)【ママ】
せば病にしたがひ薬及 飲食(ゐんしよく)
を以て保養すべし○按ず
るに温泉は地中(ちちう)至陽(しよう)の気
より湧(わき)出るものにして人これに
浴(よく)すれは湯 気を助(たす)くるの功
ありしかれどもその温泉
の根となるもの違(たがひ)ありて其
効も異(こと)なり本朝にも所々に
【左丁】
温泉(おんせん)おほく入浴(にうよく)する人もおほ
ししかれどもその理をふか
く考(かんが)へざる故に入浴の法も
審(つまびらか)ならず効(こう)あるべきも全(まつた)く
効を得ず間(まゝ)害(かい)あるも見え
たりおよそ本朝(ほんてう)の温泉は
明礬(めうばん)と硫黄(いわう)との二 物(ぶつ)を根(ね)と
して涌(わき)出るものおほし明礬
より出る湯は皮膚(ひふ)の瘡毒(さうどく)類を
愈(いや)すに尤効おほし硫黄より
出る湯の中風等の病に効あ