翻刻
【右丁】
るは専(もつは)ら経略(けいりやく)を温(あたゝ)め湯 気を
助(たす)くるが故に自然(しぜん)と気血(きけつ)順(じゆん)
ずるが故なり又 瘡毒(さうどく)滞(とゞこほ)り
たる人に効あるも経略を湿
め余毒(よどく)を温散(うんさん)するが故なり
すへて即効(そくこう)あるもあり又
年月を経(へ)てしば〳〵浴(よく)せざれ
は効なきもあり皆病の浅(せん)
深(しん)と体力(たいりよく)の強弱(けうじやく)によれる也
又その病に応ずると応ぜざる
とはその温泉の性(せい)によれる
【左丁】
なりすべて針薬(しんやく)験(しるし)なき難治(なんぢ)
の症(しやう)も湯治(たうぢ)を兼(かね)てよく保養(ほよう)
すれは効(こう)あるものおほし然る
を世の人是を審(つまひらか)に考(かんが)へざるを
かなしむが故にみづから考へて
世の人とともにせん事をねが
へれとそれを明察(めいさつ)すべき
智なきをくるしむ世にはその
才智(さいち)ある人なきにはあらじ
識者(しきしや)これを世にひろく施さ
ば万世の幸(さいはひ)ならん