翻刻
【右丁】
も形気(けいき)ともに実(じつ)したる
人も治(ぢ)を誤(あやま)れは害(かい)あり
虚人(きよじん)にはよく斟酌(しんしやく)すべし
世(よ)の諺(ことはざ)に大病人に医(い)をかへ
薬を用るに一旦(いつたん)験気(げんき)あり
てしかも治(ぢ)せざるは死症(ししやう)と
す是を考ふるに薬を以て
病をせむる故(ゆへ)一旦 効(こう)を得(う)る
がごとくなれどももとより
拙(つたな)き元気(げんき)薬の為に傷(やぶ)ら
れいよ〳〵よはくなりて遂(つゐ)
【左丁】
に死(し)にいたると見へたりたとへ
的中(てきちう)の薬なりとも元気(げんき)
よはりては偏(へん)気の薬を以
元気を助(たす)け病を追去(おいさる)こ
とはなりかたし況(いはん)や不(ふ)的中
の薬をや元気(げんき)をやぶるの
賊(ぞく)なるべし平生(へいぜい)の病にも
的中(てきちう)せざる薬を服(ふく)せんより
只 食治(しよくぢ)をなして快復(くはいふく)の時
を待(まつ)にはしかじ漢書(かんしよ)に病
ありて治せざれは中医(ちうい)を