翻刻
【右丁】
虚症(きよしやう)とは見れども虚(きよ)極(きよく)
にいたらざれはさほどにも思
はず病家へ対(たい)しさほど真切(しんせつ)
もなく大概(たいがい)の淡剤(たんざい)に病を
せむる薬品(やくひん)をいろ〳〵加味(かみ)し
ざらりと療治(りやうぢ)して食治
灸治(きうぢ)の沙汰(さた)もなければ
病家もさまで大病とも思
はすはからずして日月(ひつき)を経(ふ)る
にしたがひ元気よはり病勢(ひやうせい)
つよく一 朝(ちやう)大に虚熱(きよねつ)発(はつ)し
【左丁】
熱(ねつ)さむれは病人くたびれ悪(あく)
症(しやう)をあらはす遂(つゐ)に救(すく)ふべから
すつゝしむべし
▲薬剤(やくざい)にて補(おぎな)ふといふは臓腑(ぞうふ)
の偏(へん)に不 足(そく)したる処(ところ)を助(たす)
くるの術(じゆつ)にして米穀(べいこく)を以
身(み)を養(やしな)ひ灸火(きうくは)を以て陽(よう)
気(き)を助(たす)くるには同じからす
久しく用ひて恐(おそ)れなし
とすべからす此理(このり)を知(し)らざる
人は攻撃(かうげき)の剤(ざい)の害(かい)あらん