翻刻
【右丁】
益(ゑき)ぞや一二の草薬(そうやく)たりとも
効(こう)あるものはその病に対(たい)し
ては良薬(りやうやく)なり雑病(ざつびやう)たりと
も人の苦(くる)しむは同し人の位(ゐ)
階(かい)を定(さだ)むるごとく一向に軽(かろ)ん
じいやしむべからず且(かつ)病家
に薬性(やくしやう)を考(かんが)へずして用ゆる
をそしれども古人(こじん)の弁(べん)ぜ
ざるは病症(びやうしやう)薬性(やくしやう)ともに今
の医(い)の考(かんが)へ知(し)らざる事は
病家の人に大に異(ことなる)ことなし
【左丁】
五十 歩(ほ)にして百 歩(ほ)を笑(わら)ふの
類(たぐい)なるべししかるのみならず
用ひて治効(ぢこう)あるをも理外(りぐはい)と
し偶中(ぐうちう)としてその理(り)を求(もと)め
ず疎(おろそか)なるかれ治するべきの
理(り)あればこそその効(こう)あり何(なんぞ)
理 外(ぐはい)偶中(ぐうちう)とのみせん皆これ
その道に真切(しんせつ)ならずして考(かんかへ)
しらざる怠(おこたり)なるべし志(こゝろさし)あらん
人は熟思(つよくおも)ひてはげまざらんや
玉札(きよくさつ)丹砂(たんしや)赤節(せきせつ)青芝(せいし)牛溲(ぎうしう)