翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

(長命)養生教草 - 翻刻

(長命)養生教草 - ページ 6

ページ: 6

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朝は粥を炊(かし)ぎ昼夜は割麦を食すべし事を解(けさ)ざる族(やから)は 麦飯はぶつ〳〵して腹内に入りてこなれわろしなどいへる人あ り笑ふべきの甚しきなり阿蘭陀(おらんだ)人などは常に米をき らひて麦のみを食するも是米よりは却て麦のかた人身 をやしなふによければなり米は粘稠(ねんてう)して滞(もた)るゝ気味あれ共 麦は疎通(そつう)にして粘稠の気薄しされば米は糊に煮て用 ふれ共麦は糊にはならず是にて粘(ねばる)と粘らざるとを知るべし 粘る物は人身に害あること枚挙するにいとまあらず其論短 紙の尽処にあらざれは爰に略す今大病人にひね米を粥と なしてくはするも粘稠の気うすきによりてのことなり然るに 今年たま〳〵米穀払底なればやむことをえず甘藷粥(さつまいもかゆ)を食する も畢竟は宜きことにあらず芋類は惣【総】てねばりつよき物ゆゑ 渾身(からだ)に害あり何ほど飢(うゑ)をしのげばとて毒になるものを食し ては益なきことなりさはあれ大 飢饉(きゝん)にもいたらば是非なきことな れば止ことを得ず食して可なり今のうちは甘藷を食せずとも 外に種々の食物あれば何にても見たて粮(かて)となすべし割麦 をたへず食すれば体の薬にして少も害にならず又折々 は豆腐の糠(から)を交(ま)ぜて食すべしこれも甚薬になりて腗胃(ひい) を健(すこやか)にして宿酲(しゆくてい)【醒は誤】をさるものなり雪花菜飯(きらずめし)の炊(た)きやう末に いだす各用ふべきことなり麦を食し糠(から)を製して命をつなぎ