翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

(長命)養生教草 - 翻刻

(長命)養生教草 - ページ 8

ページ: 8

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ういふ族(やから)は凶年の苦(くる)しみを遁(のがれ)豊年にむかふころは世中(よのなか)はゆた かなれ共巳は却て苦しみかさなりて人 交(まじは)りもできずあげく のはてには食毒(しよくとく)滞(とゞこふ)りて種々の病を発(はつ)しかゝらぬ【注】体になる 者我たび〳〵見 受(うけ)たり総【惣】じて年の豊凶にかぎらず中人以 下の人平日美食にふけるときは身(しん)上 破滅(はめつ)の基(もと)いたること 疑ひなしましていはんや凶年にも其こゝろえなくいつも正 月の積りにてうか〳〵と暮(くら)すときは災(わさはひ)たちまち足元よりお こりて跡へも先へもゆかぬことゆゑよく〳〵此処に心を用ひて質(しつ) 素(そ)第一に暮すべきことなり然るを口 功者(こうしや)の人のいへるをきく に飢饉(きゝん)は世間(せけん)一 統(とう)のことなればうゑて死ぬときは我ひとりに あらず億万(おくまん)人と共に命をすつることなれば格別(かくべつ)麤(そ)【麁】食(じき)をす るにはおよばす矢張くひつけたる物にて其日おくりとなすべ しなどゝいへる人あり誠に/冥理(めうり)をしらぬ心えなればかゝる人 とはともに論(ろん)ずべからず己(おのれ)がこゝろにあてゝ不見識(ふけんしき)なる了簡(れうけん) 抱腹絶倒(はうふくぜつたう)笑(わら)ふにたへたり僅(わづか)の間の食物(くひもの)の辛抱(しんばう)さへできぬく らひにては何ごとにかゝりても切磋(せつさ)の功をつむことなりがたけれ ばこと成就すること決してなし嗚呼(あゝ)なげかはしきことにあら ずや田舎にて農業をする作人(さくにん)は朝から晩まで土まぶれ になりて働(はたら)けども三度の食事は麦飯(むぎめし)に玉味噌より外の 物を食することなくたま〳〵魚類をくへばとて干物(ひもの)か塩物(しほもの) 【注 「かゝらぬ体」の意が通ぜず。「かこはぬ(害から守ってやれない)体」か。】