翻刻
【右丁】
一滴(いつてき)だにのまず まして潅水(くわんすゐ)なぞとおもひも
よらざりしかば人(ひと)にもいたくとゞめしを 今(いま)
無病(むひやう)の身(み)となりて 其功(そのこう)うたがふ と ころ
なければ四方(よも)の人々(ひと〴〵)試(こゝろ)みてわが あざ むか
ざるを知(しり)給ふべしさてまた潅水(くわんすゐ)の効(こう)を発明(はつめい)
すといへどもそのことなるをあやぶみ て すみ
やかに潅水(くわんすゐ)することを はゞかり又は服薬(ふくやく)せずんば
いかゞとあやぶむ人(ひと)もあれば予(よ)養老散(ようらうさん)といふ
こぐすりを施薬(せやく)すれば人々(ひと〴〵)心(こゝろ)おきなく
是(これ)を服(ふく)して潅水(くわんすゐ)すればいさゝか動(とう)ずる事
【左丁】
なふして効能(こうのう)もまたすみやかなり な ほ くさ
ぐさの主治(しゆぢ)はわが前(さき)にあらわす瀑布(ばくふ)功能(こうのう)
記(き)にくわし 時に
天保八酉の春 駿河町(するがてう)の寓居(ぐふきよ)にしるす
橘 尚 賢
【印】
雑司谷
片山賢
潅水伊呂波《割書:終》