翻刻
【右丁】
症により禁する時あり施す時あれとも煩はし
きを省きて今こゝにはその常法のみをしるすくは
しき事は潅水編をみてしるへし
滝【瀧を】うくる法
滝【瀧】を受るには寒中少雪の頃暁時分別てよし
とす是は寒を以て熱を発するの謂也抑潅水は
虚弱の人に利有て充実の人に利あらす虚人
は滝【瀧】をうくる前に予か施薬家法の養老散一包を
服し滝【瀧】の水を一口吹て滝【瀧】をうくへしまづ尻居【注】
になり両足を展し足の甲をうたせ膝のまはりもゝの
【左丁】
所までだん〳〵と下より上のかたをうたすへしそれより
安座して目をふさき口をとぢ神仏を拝する
がごとく左右のゆびをくみ正しく胸にあて臍の下を
はりなるたけ息をこめて肩より頭頂をう
たすべし重き病は明け六時より線香一本軽きは
半本朝昼夕と日々三度滝【瀧】を受べし尤重き
症は滝【瀧】にかゝりて最初は寒戦交呀し甚しきは
目を引つけ絶倒する事あり更に驚く事
なかれやはり滝【瀧】にかゝり居ればほどなく気も
つき体【體】も自由にはたらき惣身発熱発汗
【注 しりゐ=尻もちをつくこと。】