翻刻
【右丁】
もろこしの聖(ひぢ)りのをしへ見きゝても
ゆをつかふみの などか しらなむ
せめてゆのどくなる事を知(し)らせばや
水(みづ)遣(つか)ふ のは とにも かくにも
すめる代(よ)につきせぬみづを身(み)にそゝぎ
なべて無病(むびやう)に くらせ よ の 人
長命(ちやうめい)と無病(むびやう)は人(ひと)のねがへども
湯(ゆ)にいる害(がい)をしらぬ かなし さ
いさぎよく朝(あさ)夕(ゆふ)水(みづ)に身(み)をそゝげ
ねがはず とても 無病(むびやう) 長(ちやう) 命(めい)
【左丁】
湯(ゆ)にいるは大毒(だいどく)なりと世(よ)の人(ひと)の
しりつゝ水(みづ)の のう を 知(し)ら ずや
よしあしの其名(そのな)に迷(まよ)ふ愚(おろか)さよ
呑(のみ)てそゝぎてみづからに ゑ よ
五十 迄(まで)みづをにくみてそしる身(み)の
今(いま)とふとみて潅(そゝ)ぐおかし さ
無事(ぶじ)な身(み)を朝(あさ)夕(ゆふ)水(みづ)にそゝぐのは
ころばぬ先(さき)のつゑで 社(こそ) あれ
もろ〳〵の病(やま)ひの数(かず)はおゝけれど