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【右丁】
こゝろやすきもの
おり〳〵はなしに
来りにければ
にげたといふ事は
おくびにもださす
このちうも【先だっても】
みんなの
すてた所を
わしがいちに
ふくで
たちまち
しよくに
くいつき
ふゆぼう
こう人【冬奉公人 注①】も
はだしと
いふやつとてがらばなし
いづれもいしやしゆが
きどりがなくてはいけませぬ
まづすこしのかぜははいどくさん【敗毒散 注②】
そのうへが正気さん【正気散 注③】
ずつう【頭痛】かするなら
さいこ【柴胡 注④】せんきう【川芎 注⑤】を
かみするせきが
てるならそふはくひ【桑白皮 注⑥】
【左丁】
きやうにん【杏仁 注⑦】
みな四時の
きにあたり
たるもの
なれば
ふかんきん【不換金 注⑧】
いかぬ事は
なし
こゝの所が
りやうけんもの【料簡物=よくよく考えてみなければならない事柄】
とかくしよもつに
ばかりまかせ
しやうぶな
もので
きつかいは
なけれども
その人に
よりて
かけひきのある事これは
りやうじがすこしおそふ
ござるのにかいからおちぬ
うちにこしのりやうじも
いらぬものわしなどは
おそいぶんはかまい
ませぬとみそ【味噌=自慢】をぶちあげる
【右丁下部】
いりやう
てびき
くさと申
本を
ごろふしろ【御覧じろ=御覧なさい】
けつかうな
ものじや
【左丁下部】
わし
などは
とんと
つまるは
おかげて
よいが
すこし
くすりが
なずみ
ます【離せない意か】
【注① 江戸時代、北陸・信濃地方から農閑期の冬期だけ江戸に奉公に来る人。】
【注② 近世、広く愛用された売薬。】
【注③ 粉薬の名。風邪に効く漢方の薬。解熱、発汗の作用をもつ。】
【注④ シマサイコの根を乾燥したものを慢性の体熱をとる解熱剤とし、漢方医学では呼吸器病などに使用される。】
【注⑤ 鎮痛、鎮静、駆瘀血、強壮作用あり。】
【注⑥ 漢方の薬物の一つ。クワの根皮。消炎・利尿・解熱・鎮咳剤として用いられる。】
【注⑦ アンズの核の中にある胚を乾燥したもの。薬用。】
【注⑧ 風邪薬の名。室町時代から江戸時代にかけて、全国的に知られた。】