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竹斎狂歌物語 3巻 - 翻刻

竹斎狂歌物語 3巻 - ページ 19

ページ: 19

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【右丁】    竹斎中       二 竹斎は我むねのうちなにおふ竹(たけ)なれは。わり ても見すへきものを。あまの事とや思ひ けん。さん候【注①】みつからも。今(いま)はよそにたはるゝ かたあれは其方(そなた)もまたおもひかけたらん おのこし給へといへは其ときをんないへるやう きさまはとのゝ事(こと)なれは、ひく手(て)あまたにも 渡(わた)り給へかし、みつからはきさまならては、なとつ ふやくかほつきもめん〳〵楊貴妃(やうきひ)【注②】なれは、竹斎 か心にしてはくひつかまほし【注③】そ覚(おほへ)るらん。すへて 此みちのならひにて。今(いま)一度〳〵といひながら 【左丁】 もはてしなきものなるに。あかぬわかれ【注④】の いとまごひせるこそ思ひやるも。袖(そで)しほる るわさなりや竹斎はとかくの事もえ いひ出すして。おとこなきせるこそ無下(むけ) なる人にみせは。わらはめ心ある人たれか思ひ しらさらん。をんなもやゝありていへるやう いかなる御事にや。かくなみたくませ給そ ととへは。竹斎なみたをおさへ。四方山(よもやま)のちかひ事 し上洛(しやうらく)の事を又かたり出れは。をんなもかね てより。一 度(たび)わかるゝは生(しやう)あるものゝ習(ならひ)なれはと 【注① さんぞうろう=そうでございます。応答の言葉。】 【注② 「面々の楊貴妃」=人はおのおの自分の妻を美人と思い込むたとえ。】 【注③ 食い付かまほし=くいつきたい。】 【注④ 飽かぬ別れ=嫌になったわけではないのに別れること。別れたくもないのに別れる不本意な別れ。】