翻刻
【右丁 挿絵】
【左丁】
かに其方(そのはう)は竹斎 老(らう)の御手きれたると聞
侍るはまことかうそか。をんなこたへていはく。
さん候【注①】竹斎さまは万事(ばんじ)心に物をもまかせえ
ぬとて。此たひ上洛(しやうらく)なされ侍る也其 上(のほ)りの日も
明日(みやうにち)にてこそ候へなとなく〳〵かたり侍しかは
かのかゝ申やうさためて其方も金銀(きんぎん)をゝく
もらい給ふへし。我等(われら)も右(みき)に其方をきもいり
侍れは。ちとすそわけにあつからはやなとかまかけ
たり。女こたへていふやう。いやとよ【注②】みつからは唯(たゝ)
かの人にわかれ侍るこそ身にあまりて。か
【注① さんぞうろう=応答の語。さようでございます。そうです。】
【注② いやいや違う。いやとんでもない。】