翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

竹斎狂歌物語 3巻 - 翻刻

竹斎狂歌物語 3巻 - ページ 43

ページ: 43

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【右丁】 にて有やらん。五こくをつくれはじゆくせず。 市(いち)にあきなへば。心のまゝならず。物ごとにげほ うの下(くだ)りさかのやうになりゆき。今またのぼ るもつらき老(をひ)のさか。つえにすかりてこれ まてまいるも御客達(おきやくたち)の。御すがたもよしある 人のなれのはてと。たゞ一目にみまいらせ候 へは。我も此世の事にうみがき【注①】のじゆくし をとふらふ【注②】。ふぜい也とうはもろともにな み【「こ」に見える】たにしづみ【注➂】給へは。にらみも此事どもを 聞居(きゝゐ)てさめ〴〵とこそなきゐたり。やゝあ 【左丁】 りてなみだをおさへ。いやとよ【注④】あるじの人々 よ。昔(むかし)大 唐(たう)の一 行(きやう)阿闍梨(あしやり)といへる名僧(めいそう)は。む しつのとがにをかされ。日月もおかまぬ道(みち)にな がされ給ふを。諸 天(てん)【注⑤】これをあはれみ給ひて 九ようのほしのひかりを現(けん)し給ふ。阿闍梨 よろこびのあまりに右(みき)のゆびをくひきり ひだり衣(ころも)の袖(そて)にうつし給ふて、末世(まつせ)の衆生(しゆじやう)に しらし給ふとかや。これみなせんぜ【注⑥】のかいきやう【戒行】 のする所(ところ)なりとかたれは。をんな聞(きゝ)ていふやう こよひの雨(あめ)のさびしさに。われらかむかし 【注① 熟柿=熟した柿の実。】 【注② うみがきの熟柿を弔う=似た境遇のものが相手を慰めることのたとえ。】 【注➂ 泣き臥し。】 【注④ いや、とんでもない。】 【注⑤ 天上界の神仏たち。】 【注⑥ 先世。前世に同じ。】