翻刻
【右丁】
ひんほうのかみのくろやきえてしかな
四百四ひやう【注①】のめうやくにせん
かくいひつゝくるうちに。日もにしにかたふ
けは。上洛(しやうらく)の才覚(さいかく)せんといとま給り。にらみ
の介も宿所(しゆくしよ)にこそはかへりけり
第二にらみ長者の門外にたゝすむ事
にらみの介はねられぬまゝに。ほし〳〵【注②】と四(よ)
方(も)山の事を思ひめくらすにも。猶(なを)たのみた
る人の宿世(すくせ)こそかなしけれ。いかにもしてよ
きさいかくをめくらし。みやこへのほさはやと
【注① 四百四病=人間のかかる病気の総称。】
【注② ほしほし=しみじみと思い廻らすさま。】
【左丁 挿絵】