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将軍 宣旨(せんじ)御 政道(せいたう)のくらき事末代のそしり。勿体(もつたい)
なし〳〵と言(ごん)上すれは。諸卿(しよきやう)の面々げに是はことはりと
眉(まゆ)をひそめておはします。爰に侍(つき)所の預り鷹(たか)の巣(す)
の帯刀(たてわき)太郎 広房(ひろふさ)。瀧(たき)口の陣(ぢん)よりつゝと出。御 政道(せいたう)
くらしとは舌長(したなが)なる奏問(そうもん)。剰(あまつさへ)惟茂ゆみやの法を
しらぬとは。尤わぬしに似合たる難勢(なんぜい)。事をしら
ずは語つて聞せんよつくきけ。それ弓矢といつは
神武(じんむ)不殺(ふさつ)の威徳(ゐとく)を表(へう)し。物に疵(きつ)付 殺(ころ)さね共
弦音(つるおと)計にて。化生(けしやう)変化を亡(ほろぼ)す事。たとへば仏神
の札守にて悪魔(あくま)を払(はら)ふに事ならず。かたじけなく
も天照(てんせう)太神 天(あま)のかご弓羽ゝ矢をもつて。悪神
をしづめおはします此理をさして神通(じんづう)の鏑(かぶら)矢と
号(がう)し。仏道にては大 悲(ひ)の弓 智恵(ちゑ)の矢共さとる也。
凡大将たる身の弓は袋(ふくろ)釼(つるぎ)を箱に治(おさめ)ながら。東南(とうなん)