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西北(せいぼく)の敵をしづめしりぞくる。一 帳弓(ちやうきう)の理に至るを
精兵(せいびやう)の射(ゐ)手共。又は文武(ぶんふ)両道の。弓取共是を名
付たり。見よ〳〵今宵の変化 惟茂(これもち)矢さきの疵(きづ)は
付す。只一矢に射(ゐ)て落(おと)し郎等に切とめさせたる。これ
もちの心底(しんてい)を察(さつ)するに射殺(ゐころ)すはやすけれ共。御殿
の棟(むね)に矢を射付 血(ち)をあやす恐(おそ)れを存し。矢の根(ね)は
そつとぬき捨(すて)たると覚えたり。証拠(せうこ)にはあの矢を
おろし見すべしと鞠垣(まりかき)の。棹(さほ)取のべてかりおとし見れは
詞にちがひなく。かぶら計に鏃(やじり)はなし惟茂ゑしやくし。
その矢の根是に有。惟茂が家の相伝(さうてん)弓矢の故(こ)
実(しつ)是御らんぜ。と鏑先の大 鳫俣(かりまた)くはい中より取出
せば。諸任(もろとう)一 句(く)に返答(へんとう)なくこぶしをにぎつて赤面(せきめん)す。
帝を始(はしめ)月卿雲客(けつけいうんかく)帯刀太郎が弓矢の評定(へうぢやう)。惟
茂がふるまひゆうにやさしき勇者共やと二たび