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あつとぞ感(かん)ぜらる。天気猶もうるはしく関白重て
勅(ちよく)を蒙(かうふ)り。柳の五つ絹(きぬ)きたる官女(くわんぢよ)をいざなひ御 釼(けん)を
たづさへ出給ひ。惟茂がふるまひ仁義(しんぎ)の勇者と云つべし。
且神道にもたづさはり仏法をもうかゝふ事 。多能(たのう)は
君子(くんし)のはづる所 甚(はなはだ)かんじ思召。此御太刀は神代より
伝はりし平国(くにむけ)の御 釼(けん)とて。八幡宮の御母 神功皇后(じんぐうくわうこう)
異国(ゐこく)退治(たいぢ)の宝釼(ほうけん)也。然るに信州(しんしう)戸隠(とがくし)山に悪鬼(あつき)
化生(けしやう)し。民俗(みんぞく)をなやます由うつたふる。此度大内の
変化も正しく彼山の変化の余類(よるい)成べし。此太刀
を帯(たい)し戸隠山に駆(かり)入て悪鬼の根を立。国家 安(あん)
全(せん)の功(こう)を顕(あらは)し朝家(てうか)を守護(しゆご)し奉れ。且又汝にはいまだ
定まる妻なしとや。是こそ中宮の上わらは世継(よつぎ)御
前上より嫁(めあは)せ下さるゝ。此御太刀をみやげにて吉日ゑ
らひ送らるべし。いかにたけきものゝふも情に□□□【ゆがむヵ】梓(あづさ)