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跡先何《割書:ン|》にも存ぜね共此体でかけこんでは。気 違(ちがひ)のさたに落
お家のお名お身の恥(はじ)。理が非に成と制すれ共。いや大事ない夫
ゆへの気違ひは女のうへに恥ならず。生をかへてもそはねば置ぬ
爰をはなせ利綱。やつてくれぬか利綱と声を上て泣給ふ。
金剛兵衛もてあつかひ。お局(つほね)はおそばにゐてかゝる大事をしらぬ
かと。ねめ付られてふるひ〳〵。もとひよつとした御 縁(ゑん)にてお文の通
路たびかさなり。惟茂様もこれもち様来世かけて夫婦の。やがて呼(よび)
むかよふのと神かけたお文にぎつてござるお姫様世つき御前お勅諚
にてお釼をみやげに。あすの晩(ばん)嫁入との文を見てお腹の立も
お道理といふてあつちは勅諚也。たかはぬおなごの了 簡(けん)どふした
物であらふやら。胸(むね)がいたひといひければ。金剛兵衛横手を打扨々
始て承る。惟茂程の弓取直筆の契約(けいやく)は。仲人より猶慥な
事。中納言の姫君を傾城遊女のごとく。よも一時のたはふれには
せられまじ。たとへ帝(みかど)より世継御前を給はる共錦の小路が娘。