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玉ゆら姫とかき契り候と奏問(そうもん)するこそ道ならめ。長袖と
思ひあなどつたる仕かた。此利綱が有からはお家に疵(きづ)は付まじき。
《割書:サア|》御祝言は明晩半時成共此方のお輿(こし)を先へ入申さん然は姫君
御本望。此上に惟茂卿お心がはりか替らぬは脇(わき)からは見へぬことそれは
御夫婦しつほりと。おねまの勝 負(ぶ)に遊ばせと笑へは姫君たき立
計《割書:エヽ|》忝い。利綱様々様々じや。父上へも母上へもよい様に申てたも。《割書:アツア|》
去ながら盃(さかづき)事の最中に。世継御前が来たらはどふした物て有ふの。
《割書:ハテ|》何の事はない。赤まへたれをひつはらせ。はしり出て味噌(みそ)すらせ。釜
の下たかせたり世継の名をかへ台(だい)所の。食 継(つぎ)御前にしてくれんと
たはふれ。用意を〽俄事 既(すでに)其夜は。きさらぎ下旬花の三月
よけぬれは。皆吉日ぞ其外にいむは申の日 猿(さる)の顔(ほう)をしてよ
めりの御乗物御 輿(こし)ぞへには金剛兵衛。鶴亀か入たる対(つい)の挑灯(ちやうちん)供侍
が子持筋。追付 初(うゐ)子を御 懐妊(くわいにん)大原口にぞ着にける。金剛兵衛立
とまりなふ侍衆つく〳〵思案(しあん)をめぐらすにお輿をどつと持かけ。もし