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まあをのけにどうとふす。なむ三宝と起(おき)なをれば身もひ
つたり。土も石もぬれ〳〵と手にさはるあたゝまり。是は扨。たつた
今切たる血(のり)草葉もひたる計也。すは事こそと気もさはぎすべる
をふみとめ踏(ふみ)しめ。足にさはるをひつ抓(つかみ)すかして見れは。御家の挑灯
のちぎれ《割書:ハアヽ|》姫君をうばゝれた。《割書:エヽ|》利綱が一生のふかく。おのれ
何国迄とかけ出しが《割書:ハツ|》。我は狂気仕たそうな方角のわきまへなく。
どこをせうどに行事ぞ。先何者のわざならん。《割書:ムウ|》しれた世継御前
が妬(ねたみ)のわざ。《割書:イヤ|》諸任めがきのふの遺恨(ゐこん)と。思案する程気も混(こん)
乱(らん)分別いらぬ思案もない。京中九万八千 軒(けん)。一軒つゝさがせばとて取
かやさで置べきかと。北へ走れはみたらし川の川音の。しん〳〵としてあて
もなく東はたつた今来た道。先洛中をとかけ出す足本くらく
賀茂川の。ふかみにだんふとひたつたり。《割書:エヽ|》しなしたりとかけあがり裙(すそ)に雫(しずく)
のたるみなく。心計はせきのぼり行もはしるも同じ道。二三町の
間をいつゝもどつゝぐる〳〵と。さしもの利綱十方にくれ。物の見入