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宵(よひ)からよふうろたへさせ。すでにじがいをせんとした。姫君にうきめを
見せ。此上 臈(らう)に狼藉(らうぜき)したもをのれら故。返報(へんほう)せずにおかふか。
前に立たは太宰の大弐が郎等。児玉(こだま)の忠太と目利(めきゝ)したかへ〳〵とは
あたゝかな。金銀の両替も利をとられねは両替(りやうがへ)せぬ。豆板の児玉
首つりを取てかへんすとくはつと見出す両眼は。新吹のしろかねを
みがき。出せるごとく也。《割書:ヤア|》両替にどとはかば姫が胴骨(とうほね)打おつて。疵(きづ)
物をつかませよと引出さんとする所を。もと首つかんでぬつとさし上 ̄ケ
めのかるひわるがね。つぶしにせんといふまゝに石にかつはと打付れ
ば。かうべひしげてうせにけり。いで残るやつはらに極(こく)印打てとら
せんと。するりとぬいて二三人同じ枕に切たをせは。四方へばつとむら
〳〵雀(すゞめ)。鷲(わし)の蹴(け)立るごとくにて跡をも見せず〽逃うせけり。
立返つて乗物引寄しがいの上帯切ほどき〳〵。棒(ぼう)と棒とをしつかと
しめて結(ゆひ)合せ。引上見れは《割書:ヲヽ|》天秤針(てんひんはり)口かるめなし。こなたもおもひかな
たもおもひ主君の恋のおもにゝ小付。見捨ぬ義理は将のかた入□□□。