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沼田(ぬまた)の七郎御 白州(しらす)に畏。さても錦(にしき)の小路の中納言殿より御使
者として。執権(しつけん)金剛兵衛利綱の妹。梅の井と申女中君に直
の見参か。さなくば御家老おもだか次郎殿に。直談(じきだん)との義に候とぞ
申ける。おもだか暫(しばら)く思案し。中納言家の御使者ならば人もこそあれ
なまわかき女を使者とは。よし〳〵某直に対面(たいめん)せん。其使者
是へと座を改ゑもん〽つくろひ待宵や。いざよひ過の芘ゑくぼ
にたまる愛敬(あいきやう)は。花の粧(よそほ)ひほつそりすうはり柳の間の。らうか
づたひ。人中おめぬすり□【足ヵ】は。梅のながし枝梅の井と。えらはれしも
げにことはり也。茨菰立合。黄門公(くはうもんこう)の御使者梅の井殿とは御じぶん
の義候な。拙者は則おもだか次郎御口上の趣(おもむき)。いさゐ仰聞らるべし
と。さもいんぎんに両手をつき。まき舌(じた)の挨拶(あいさつ)に梅の井くつ〳〵と
吹出し。《割書:ア|》そうかたい御挨拶ではどうも御口上も申されず。尤かた
い御使者ならば十 面(めん)作つた侍衆もおほけれど。此梅の井が
参からは中納言様とは詞の品。誠は姫君玉ゆら様より使と申