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恨(うらみ)とはさこそ〳〵。両人共に惟茂見はなし捨(すて)ん様はなし。追付玉
ゆら世継御前諸共我方にむかへ取。兄弟が苦(く)をはらさん。
《割書:サア〳〵|》帰つて二人の姫にかくとつげ。此ふみ見せて悦ばせと
手づから結(むす)ふ御文箱。しんくの糸の末ながき。妹背(いもせ)のしるしと
たびければ。梅之井悦び二つの文箱押いたゞき〳〵。又大将
の御 了簡(れうけん)は格別(かくべつ)じや。此文見せたら飛付て。玉ゆら様の玉の緒(お)も
きゆる計のお嬉しがり。お笑ひ顔(かほ)見る様なはやお暇(いとま)と御文
箱。両手におもきいもせ山。あゆむはかるきちよこ〳〵はしり
宿所を〽さしてぞかへりける。茨菰次郎跡見送り《割書:エヽ|》出過たる
女めかな。是我君。あのめらうが弁 舌(ぜつ)に廻され。御一生の
浮沈(ふちん)たる御太刀の詮議(せんぎ)はわきになし一人計か二人の姫君む
かへいれんなんどゝは。先此次郎めは呑こまず。急度御 心腹(しんふく)承は
らんといへは。惟茂卿あたりを見廻し。次には誰もおらぬか。小姓共 抔(など)
聞てはいぬか。是へ〳〵と膝(ひざ)もとに招(まね)き。女の恨(うらみ)妬(ねたみ)には身を忘れ。恥(はぢ)を思はぬ