翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 44

ページ: 44

翻刻

世継めがしねがな〳〵天もおちよ地もさけよ。山も崩(くずれ)ておちかゝり世 つぎが五 体(たい)くだけよかし。につくし〳〵のみだれ髪。かもじほどけてちはやふる 悋気(りんき)の神はなき世 彼(かの)。庭(には)の植込(うへこみ)松杉も神木と観念(くはんねん)し。しんゐのかな 釘心のかなづち打 殺(ころ)したや殺したや。くしげ見れ共 刃物(はもの)はなし。《割書:エヽ|》何とせん。 是よ〳〵二面の鏡思ひ付たりあら嬉し。鏡は女の魂(たましい)武士のたちかたな。 本望とげん銘(めい)の物。ゑたりや嬉しと走よれは柳の髪も我涙も 共にはら〳〵はら〳〵〳〵腹立や此かゞみ。世つぎごぜんか朝夕にべに白粉(おしろい)の ときみがき。粧(よそほ)ひ作て主の有男をね取第一のにくいやつは此鏡。みる も恨のますかゞみと踏付。〳〵取て投(なげ)。是は又我姿見くもらぬ物を かゞみ山。心ぞ霞(かすむ)悋気(りんき)の雲霧(くもきり)誰とぎたてん水銀(みづかね)の。水もらさじとち かひてし地かねをあだに捨られし。此恨は生々世々つきせぬ物といか ればいかり。笑へは笑ふ正 直(ぢき)の姿のかゞみまるく共れんぼのかどひし【注】忽に。剣【釼】 となして我念力思ひはらさで置べきかと。小脇にかい込 踊(おどり)出 築(つき)山の岩角 に。押当ては押戻し。恋と妬(ねたみ)と浮(うき)世のつらさ三つの袷砥(あわせど)しんゐのめらと。 【注 「角菱」=態度や言葉などが角ばっていること。】