翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 45

ページ: 45

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生れてなれぬ力声庭も春風とう〳〵〳〵。共にゑい〳〵さら〳〵 さつとちるは桜か越路(こしぢ)の雪。顔は上気の高尾山もみち袋に置露や。 五つの指(ゆび)のいつのまに。枝さんこじゆにことならず。ねたは【注①】や付しとすかしみれば。 《割書:アヽ|》嬉し切 刃(は)【注②】も付たりかん将ばくや【注③】が名作も是には過しと押いたゞき。 奥をめがけてかけ出しがいやまてしばし大じの敵。一打に切やきれずや ためしてみんと走寄。二かい余りの古木の梅。下へふつたる一枝は世継が 腕(かいな)と心に込。ゑいや《割書:ツ|》と打ばあやまたず。枝は中よりずつはときれ。念力 岩を通す成紅梅 血汐(ちしほ)と乱れたり。天晴(あつはれ)切 ̄レ物切入らん。いや〳〵此気色 を悟(さと)られし損(そん)じては無念也。だまし切にと上がへ下がへ押つくろひかみ撫(なで)付んと 鏡にむかへば《割書:アヽ|》こはこりや何《割書:ン|》じや。藪(やぶ)の後(うしろ)の松の木に六尺ゆたかの大男。 内を見込《割書:ン|》でねらふ体あり〳〵と移(うつ)《割書:ツ|》たり。玉ゆらきつと心付。南天(なつてん)林の木 影よりすかし見れは人音の。藪 垣(がき)廻つて泉水(せんすい)の板橋(いたはし)より忍ひ込。昼 中によもや盗人でも有まい。扨は世継めが此玉ゆらをかへり討に殺(ころ)さん ため。頼めばとて頼るゝ蠅(はい)同前の下々。待て見よめに物見せんと猶も 【注① 寝刃(ねたば)=切れ味のなまった刃。】 【注② きりは=よく切れる刃】 【注③ 干将莫耶=中国、春秋時代の有名な刀鍛冶の名。干将は夫、莫耶はその妻だという。】