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と逃て行。あまさし物と金剛兵衛追かけ出ればおもだかをさへ。おもだかかくれば利
綱をさへこつちにけがのない上は。先何こともをん便〳〵茶びん茶 碗(わん)の割物かけ物。一所
に置はあぶな物世つぎ御前は主君のやかた。こつちの姫はこつちの御殿惟茂 帰洛(きらく)
遊(あそば)して。嫁入の前後は仕合しだいおねまのやりくり御きてん次第上十五日の長枕下
十五日のお手枕。談合次第と二人の姫を二人かせなかにしつかとあふせの夫(それ)迄はおさらば。さら
ば〳〵腰元はしたもめをくばれ。道の用心敵のすいさんふみ立。〳〵ふみちらす。落花(らつくわ)狼藉(らうぜき)
ゆるすなゆるさし。《割書:ヲヽ〳〵〳〵〳〵|》おふたは木男松の木 樫(かた)木。おはれし花は梅桜盛を。待てぞ別れける
第三
帰去来(かへんなんいざ)とて古郷(こきやう)へ遁(のが)れしは。彼天命を楽(たのしみ)て禄を捨
たり古人の心。鷹巣(たかのす)の帯刀太郎広 房(ふさ)は。去(さんぬる)世継御
前の婚礼(こんれい)に武士一人にえらはれ。御 剣(けん)の役を蒙(かうふり) ̄リ 【衍】ながら
太刀風に恐(おそ)れ。一番に逃(にげ)失せて。御太刀ともにゆきがた
なく洛(らく)中の物笑ひ。毎日 押(おし)紙 張(はり)札して狂哥(きゃうか)狂(きやう)句の
悪(わる)口に。落書(らくしよ)を立る門 柱(はしら)殊に逆鱗(げきりん)甚(はなはだ)しく。事 落居(らつきよ)