翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 59

ページ: 59

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たゝかれて。涙はら〳〵こほしながらいたいとだにも声立ず。いや盗(ぬすみ)は せぬ母様の足いたい。あるかれぬと有ゆへに。やいと■(もら)ひに来た はいや。こらへてくれとへつらわぬ。詞にすじやう顕(あらはれ)てめも当られ ぬ次第也。女房見かねいとしやさんぐうかなする人。お袋はとこにぞ鞵(わらぢ) か足をくふたか。艾ほしくばやらふかといたはれば。いやおきや〳〵。親を だしにつかふは。物取のおくの手。《割書:ヤイ|》小ぢよく【注】。こんどは是をくらふかと。杵 ふりあぐれは旅人共《割書:アヽ|》是々。爰は我々が噯(あつかひ)。うそにも親とは きどく也。こりや艾とらせんと一袋 投(なげ)出し。はやふ帰つてすへてやれ と皆々通れば房若。大へいらしく押 戴(いたゞき)。いたさこらへて泣た顔せまいと すれどないじやくり笠かたぶけて立帰る。門見廻して女房おつとを 招き。今の子を合思か。なんほうよごれやぶれても衣裳(いしやう)つきに 見所有。物いひの大やうさ目元口もと帯刀様にいきうつし。疑(うたかい) もなき房若様とやらにまがひはない。おいとしやたてはき様今度 の恥辱(ちじよく)すゝがれす。都へ帰つて切腹する妻子が是へ来るならば。 【注 子供をののしっていう語。】