翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 60

ページ: 60

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御太刀を渡し二たび家をつがせてくれとの御頼み。其御詞にちがは ず若君うろたへ給ふ体(てい)。帯刀様は 御 切腹(せつふく )に極つた。追ついでおく様も お供せうとかけ出る。《割書:アヽ|》是て〳〵此久作もそうは見たがさりな がら。此の嚚(ひす)ひ【注】人心語りの有まい物でもなし。殊に預り置た宝 の御太刀。彼橘の諸任とやら望をかけ。是からおこつたさうどう 念にも念を入たがよい。旦那の妻子に 極(きはま )れはもぐさのふくろに 隠(かく) れもない。久作都て御出なされう。惣じて 此事 隣(となり) かぎつ て 隠密(おんみつ)。 ざは〳〵して近所にふしん立られな。 けさから【右:どふやら】もう〳〵と 頭痛(づつう) であたまがくだける。旅人はなし日はくれるとのうれん はづし 看板(かんばん) 仕廻。見世かた付て 蔀(しとみ) をおろし一ね入して 汗あせ してくれう。 門口しめて用心しやと 頭巾(づきん) 鉢巻(はちまき) 高枕。こりや万とら。房若の 帯刀のと国人にいふまいぞ。ねむたそうなめもとじやだいてね よふと引よせて。うん〳〵うめいてひつかぶるもめんふとんのうら 表(おもて) 。 背戸(せど) かどしめて女わざ。夜なべ取つく 行燈(あんどう) の。光 ̄リ もほそき忍び 【注 ひすい ずるい。心がひねくれている。】