翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 61

ページ: 61

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声。久作は爰か都からきた明てたもと。表をひそかにたゝくおと 応(おう)と答(こた)へてかけ出る。ふとんの下から裙(すそ)ひつとらへ。米やか味噌 屋か留守じやといへ留守じや〳〵と引とむる。《割書:エイ|》物 負(おふ)た覚へは ないとふり切て門口の。とらやおそしと走出なふおくさまかおゆかしや。 おいとしやさいぜん此お子をそれ共存ぜす。慮外(りよくわい)致せし勿体(もつたい)なや とすがり付は北の方。むかしにも似ぬ此有様身のうき時の人頼み。 恥しさよと計にて涙に。くれておはします。《割書:ヲヽ|》お力ないは御尤 され共大事の此わこ様お気ばししなせ給ふな折ふし夫は風心地 先々是へと痛(いた)はりてぬき捨わらぢ洗足の。床(ゆか)は簀(すの)子のわら葺(ぶき) や。洩(もり)て袂(たもと)に露霜も奥の間にこそ請しけれ是久作殿聞 てか。かゝ様親子御お出なされた。ちよつとおまへゝ出られぬか。ヲヽ聞 てはゐたがどふもあたまがあがらぬ。熱(ねつ)がつよふて気がちうをとぶ様 な。随(すい)分御 馳走(ちそう)〳〵といひ捨ふとん引かつく。《割書:アヽ|》時もときの煩ひ やとおくに出れは北の方。なふ久作の病気とはさぞやそもじの