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扶持(ふち)せられんとの契約(けいやく)。かう近道に持て来た仕合。此刀でふさ
わかをしてやつて。今のまに黒縁(くろぶち)の乗物にのせるそ。老入の栄(えい)
花迄此比 思案(しあん)しめおいた。声立てめをさますなだまれ〳〵と
つゝと立。先待てくだされと引すへて興(けう)さめ顔。ため息(いき)ついてゐたりしが。
やゝ有て涙をはら〳〵とながし。情なやいつの間に魂(たましい)が入かはつたぞ。お主様
の御 厚恩(かうおん)七年はまだきのふけふ。よもや忘れは有(さつしやる[朱書き])まい。ふたりが不義の
忍び合あの万とらがおなかにやどり。身はおもふ成と云お家の法度を
そむくといひ。親請人のめいわく子はをろそうかながそうか。ふたりが
首は縊(くゝら)ふかと内 玄関(けんくはん)の外絆(とつなぎ)に。なは迄かけたをおぼへてか。それにお主
のじひ心おく様のめ【あヵ】ひけんにて。お袖の下よりかねいたゞき夫婦つれ
てお家を走(はしり)。あの子を悦ひ三人の命。生ながらへたは誰が影ぞ。
わしやけふか日迄お主の方へ。足をむけてもねぬはいの。たがいの
性念(しやうね)見とゝけていひかはした程にもない。きたないさもしい心 根(ね)や
持仏(ぢぶつ)にこざる如来様。つい木のされと思ふてかわしやなんにも