翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 65

ページ: 65

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しらね共。地 獄(ごく)も此世に有そうなむくひがなふてかなはふか。 女房子かはいが定(ぢやう)ならは分別しかへて下されと。夫の膝(ひざ)にもたれ ふし。声をたてじと我袖を口に。くはえてしめなきにかこち。くどく ぞ不便成《割書:エヽ|》馬鹿(ばか)律義(りちぎ)な。仕 替(かへ)るふん別こつちにないわごりよ【注】が 分別出なをせとつゝ立はつきはなしよい〳〵そつちの分別極まれば わしも思案極たと。膳棚(ぜんたな)の包丁(ほうちやう)追取我子の万虎引 起(おこ)し。 心もとに指あつれば《割書:ヤレ|》女め気ちがひめ。恨が有らは口でぬかせ。科(とが) もせぬ子に刃物(はもの)を当。大事の子にけがさせたら堪忍(かんにん)せぬとね めつくる。女房涙せきくれど。にくいながらも夫の悪事。高声も せず。かこち泣。なふ科(とが)せぬ者は殺(ころ)さぬとは。御身も見ごとしつてか。 我子大事と思ふ程人の子は猶大事。殊に御 恩(おん)のお主の子殺 してそもや其 報(むく)ひ。我子にあたらで有物か此子がゆく末 お主の罰(ばち)。ういつらい報ひ見せうより一思ひに今 殺(ころ)す。皆御身の 悪心からお主と我子を右左の両手で殺と同じこと是。包丁と 【注 わごりょ(我御寮)=対等もしくはそれ以下の相手に対して親しみを持って用いる語。そなた。】