翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 66

ページ: 66

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思ふてかこなたの心の剣(つるぎ)ぞや。《割書:サア|》房若様から殺(ころ)しやるか此子から殺 そうか。生としいける身の上に命を大事とする故に。あつい灸(やいと)も 堪忍するくすりあきなふ魂(たましい)に。あくまが入かはつたか地ごくの迎ひか ゆかしいか。むごい悲しい心やと声を立ねはめで恨む。うらみはおつと 思ふは主人歎一つを二筋に。こほす涙は組(くみ)糸をたぐり。出すがごとく也。 久作はつと得心(とんしん)【注】し。《割書:アワヤ|》そうじや誤た。お主は根本こちとは枝 葉。根さへかれねば枝葉は立。お主がもとじや合点したぞ女房共。 《割書:ムウ|》あまり急なおれ様 真実(しんじつ)の発起(ほつき)か。《割書:ハテ|》木石ならぬ久作。てき めんの道理を聞て合点せいで能(よい)物か。未来迄たすかるいけん 女房と思はぬ善知識(ぜんちしき)と。手を合すれは嬉しさの猶も涙にむせびし が。かまへて〳〵其心を跡へ戻(もと)して下さんな。されば〳〵。我身ながら 此心めがじゆうにならぬ。少も心に油断(ゆだん)させず善はいそげあす早(さう) 天。都へお供惟茂卿を頼むべし。御両人のかご二 挺(ちやう)お太刀持する 人足今宵からやくそくせう。御身もやすんで七 ̄ツに出立の用 【注 「とくしん」の誤記】