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未来(みらい)ではのゝさま【注】に。ほめらるゝぞと身をそへてせくりあげて
歎(なげき)しが。おそなはつては詮(せん)なしとそつと立てあゆめ共。畳(たゝみ)もう
すき竹すの子下へしられじ聞せじと。火焔(くはゑん)の渕(ふち)の薄(うす)こほりふむ
かと計わな〳〵〳〵。ふるふ足を漸(やう〳〵)にしづめ。我子をそつとおくの間
の親子のそばにねさせ置。我身は房若だき取てそろり〳〵と
いざりのく。跡のたゝみをつらぬきて氷のきつ先つきぬき。〳〵ひら
めいたり。ひらり〳〵と火にうつろひ。万とらがみゝのきは枕もとは《割書:ア|》
は《割書:ア|》あぶなや。今迄は刃物(はもの)持なげがすなと。世話やいた物かわい
げに剣の山に捨るかと。思へばめもくれ冷汗(ひやあせ)に心も。きゆる計
なり。刀の切さき万とらがせぼねに突当(つきあて)。むないたかけてつら
ぬかれ。ぎやつと計にそり返れはめもあてられず身もちゞみ。
しらずに殺(ころ)すてゝ親と見てゐて殺す母親と。つれない親
を持た子やと。思へはぜんごも打 忘(わす)れ母はわつとさけぶ声。北のかた
驚(おどろ)き起(おき)あがつてなふ悲しや。房若が殺された久作なふとさはぎ
【注 幼児語。すべて尊ぶべきものをいう語。】