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給へは。是々申其久作が悪心からなすわざ。され共房若様は
つゝがなし。殺されたは我子の万とら。くはしきしさいは申されずまづ
奥様此お子つれ。早ふ爰を落給へ。《割書:ヲヽ|》心へたと懐(くわい)中のまもり刀
房若に。さゝする間に女房 戸棚(とだな)の封(ふう)捻(ねじ)切。是此袋はたからの
お太刀是が大事渡します。《割書:ヲヽ|》合点と太刀袋追取出んとする
所へ。縁の下より久作 危神(やくじん)のあれたるごとく飛で出。《割書:ヤア|》罪(ざい)人共
昔はむかし今は今。主つらひろぐがふがわるい。面々の立身づく
義理も仁義も入物か。飼(かい)かふ犬に手をくはれ女めゆへに子を
殺した。其上に此太刀ぬつくりと渡さふかと飛けつてひつ
たくる。女房すかさずつかみ付申おくさま。此お太刀は此女房が跡から
持て追つかふ。辻(つじ)迄のいて待たつしやれ。早ふ〳〵と気をせけば。
心えたりと親子の人はしつて表に出給ふ。夫婦太刀を引合
夫は片手。女は両手太刀を下にひつすへ。久作ゑせ笑ひ。おのれ
がよし千人力あればとてこりや。此脇指て腕(うで)ぶしをきり