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申つらん。《割書:ヤ》是成紅葉の下枝に盃(さかづき)をかけ。かなへの下に落葉かき
よせ薪となしてくゆらせ。酒あたゝむる此ふせい。林間(りんかん)に。酒
をあたゝめて紅葉を焼(たく)といふ。詩(し)の心をうつせしは詩人(しじん)か哥人か
扨は又。恋する人のたのしみか。花に鶯(うくひす)紅葉に鹿(しか)。こぶに
山桝(さんせう)恋に酒。げにさけは曲物(くせもの)更にゑこそこらへね。絵(ゑ)に
かく鶴(つる)も酒に舞(まひ)。蓑(みの)を酒にもかへしそかし。主は誰共
しらね共風流人のなすわざ。とがめはあらじ立寄てくまふか。
《割書:ヤア|》むかふの紅葉の木影(こかげ)を見れは。さもやごとなき上らうの
紅葉にたはふれ遊覧(ゆうらん)有。此人々の酒なんめり。よし誰にも
せよ上らうの。深山がくれの紅葉狩。かた〳〵すいさん叶(かな)ふましと。
道を隔(へだ)て山影の。岩のかけぢを過行は。〽げになふ虎渓(こけい)を
出し賢人(けんじん)も。なさけは捨ぬ盃をいかでか見 捨(すて)給はんと。いふ声遠く
いつの間に姿(すがた)は爰に忍ぶ摺(すり)。乱れをゆるす竹の葉の。便(たより)に
立寄給へかし。〽思ひよらずや数ならぬ。深山(みやま)にたてる木の下露