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しづくもならず御 免(めん)あれ〽情しらずや一 樹(じゆ)の影。一 河(が)のながれを
汲酒も。縁(ゑん)あれはとて引とむる〽ひかるゝ袖も〽ひかふる我
も〽さすが岩木にあらざれは。心よはくも立帰る。所は山路のきく
の酒何かは。くるしかるべき。〽およそ酒には威徳(いとく)有。うれへを
払ふ玉はゝき。詩を釣(つる)つり針思ふことなくおることなし。ことさら。
秋の葉の。色汲かはす山水に。弓矢は何の御ためぞ思ひ付たり
此山に。鬼すむ成といひなすを。誠と心へたいらけんためな。恐ろし
やそれは人のそらこと。又は御身のそらみゝかそもや鬼すむ。
山ならば女をたすけ入べきか。誠や鬼のこもるは安達(あだち)が原
の黒塚(くろづか)。葎(むぐら)生(お)ひてしぐれる宿(やど)の。うれたきに。かりにも
鬼の。すだく【注①】成とは。むかし男のこはざれ【注②】に。女を鬼との捨
ことば。普天(ふてん)の下 卒土(そつと)の中 何国(いづく)か鬼のすみかならん。弓
をも矢をも打折て。捨させ給へまれ人よ。《割書:アヽ|》〽しばらく。
さやうの義にてはなし。落来る鹿(しか)を射(ゐ)とめんための弓矢
【注① 多数が群がる。】
【注② 「強戯れ)=悪ふざけ。】