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鬼形(ききよう)とへんしおろか也惟茂。大内にて我けんぞくを矢先
にかけし其恨。みぢんになさんと踊(おどり)かゝるを太刀ぬきそばめ。
切はらへ共事共せず。かうべをつかんであがらんとす引おろしてつ
かんとす〽山谷一どに鳴動(しんどう)して雲きりくらきその中に。月共
なく星共なく一団の野火(やくは)顕(あらは)れ出。こがね作の太刀一ふり
紅葉の枝にかゝると見へしが。此太刀みづからぬけ出て。鬼神
のうへにはためき渡りひらめきかゝつて〽追散らし追はらふ
剣(つるぎ)の光 紅葉(かうよう)八葉みほこのはさき。やいばのけんそう威力(ゐりき)に
恐(おそ)れて飛行を失(うしな)ひ〽朝日に霜と消(きへ)行鬼神。剣は
鞘(さや)におさまる山風。梢(こずへ)に其まゝ残りし太刀のかざりの
金玉。紅葉のてり葉もかゝやき渡つて山路の草木かくや
くたり〽惟茂ぼうぜんとしてあら浅ましや我ながら。無明(むみやう)
の酒の酔(ゑひ)心 現(うつゝ)共なき変化(へんけ)の形(かたち)。あらたなりける利剣(りけん)の徳
と。梢をみれは有つる太刀のましますそや天のさづくる名