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かんはせ木すへに莞爾(かんじ)たり〽房若親子二人の姫。二人の郎等
いざなひてたがよぶこ鳥そことなく。分入給へば惟茂卿。たがひに
始終(しじう)の物語〽房若が父帯刀は勅勘(ちよくかん)の者なれば。奏問(そうもん)経(へ)ん
も事むつかし。惟茂が家臣(かしん)として過分の所領(しよりやう)を安堵(あんど)せん。元服
くはへ名を改。鷹巣の小太郎 広文(ひろぶん)と名乗べしと御諚有。はつとかうべ
を地に付て悦の色浅からぬ〽女が首は嬉しげにゑみをふくみし
梢(こずえ)の色。もみじもをなじ形見ぞと。請たる袖の広文が。末たの
もしく頼み有此御太刀の御威光に金剛兵衛が金剛力。おもだか
二郎と仁王力。戸隠山の大明神天の岩戸を天の原。取てなげたる
手力雄(たちからお)其大力くはゝつて。鬼神忽亡ひ失せ八嶋の外に波もなく。
のゝめき渡り雲井の空へ。やがて二度帰洛せんなむやとがくし大明神。はやく
瑞相見せしめ給へと一心に御祈誓有扨こそ。広文成長して。頼光
に奉り酒呑どうじを退治有。源平両家の宝の太刀せうこも
今も末代も。ためしすくなき御神力と紅葉を。ぬさとぞ奉る