翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

紅葉狩剱本地 - 翻刻

紅葉狩剱本地 - ページ 93

ページ: 93

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無用心おく山は又鬼の気遣。今では鬼と惟茂と両方に敵がふへて来た。 どふぞ脇(わき)道は有まいかと。夕日も年もかたふきて。七十余りの柴(しば)人の。腰もねぢ れし山道を。たゝぼくほく〳〵あゆみくる。こりや〳〵おやち。何と此山にわき道はない か。鬼がすむとはいへ共。定て劫(こう)へた熊かいのしゝかを。鬼と云なす物ならん有 やういへと有けれは。扨々々。疑(うたがひ)ふかいお侍必油断なさるゝな。有時は女共成有時は ちつほけな小坊主(ばうず)で出ることも有。時によつては鼠衣にづだ袋道心者共 顕るゝ。彼 世話(せわ)に申鬼に衣といふ事は此山からおこつたげな御用。心とそこたへける。 さすがの諸任聞たびにびく〳〵〳〵して。《割書:サア〳〵|》どふぞきづかいない道があらば教てくれ。 《割書:サア》そこが変化(へんげ)の通(つう)力。けふ来た道があすはなく。きのふ迄ない大石が夜の間 にぬつと出来るやら。大木かはへ出山入を迷(まよ)はずやら。道とて更に定まらず 《割書:ヲヽ》こはいこと〳〵。去ながら忝い余五将軍惟茂様。鬼神退治なさるゝよし国中の 悦び。是をねたんで。橘の諸任とやら。惟茂様をねらふとの風説。此諸任めを 見付次第。打ころいてのけうと国中のわかい者。手くすね引て待かけると。いはせ も果すむなぐらつかんでどうど投(なげ)《割書:ヤイ|》ちいめ。うぬは惟茂に何 ̄ン ぞ囉(もら)ふたな