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あ。此諸任を見しつて。きづかひさせて笑はん為の偽り。誠鬼のすむ山におのれは
何 迚(とて)柴(しば)を刈(かる)。但うぬは鬼の一門か。有様云すは踏殺(ふみころ)すとはつたとにらんで責(せめ)つくる。《割書:ムヽ|》
いか様御ふしん尤鬼神に横道(わうだう)なし迚。当山とがくし大明神の氏子の分は指(ゆび)もさゝす返
つてしゆご致ゆへ。氏子にわるふあたれはめのまへにあたをなす。惣して氏子にかぎらす
山を住家(すみか)の山人柴でも木でも肩に置て通れは。夜るても昼ても恐なしとぞ
語ける。主従㒵を見合こりやかうも有ふ事。《割書:ヤイ|》ぢいめ。此しば身かかたける。おのれは
道の案内(あんない)先へ立て失せおれと。乗取てかたぐれば。《割書:エイ|》おまへがおかたげなさるゝか。《割書:アヽ|》
是は御太儀な。慮外ながらお先へ参ますと。樵路(せうろ)に肩を休たる。年のこうとて
山人が。鬼にとられし荷ひこぶ麓をさして。〽下りける。房わかは只一人長かたなの一本ざし。
股引かるき山づたひ母うへ追かけなふ房若。云事聞ずにとこへ行。姫君達のお伽(とぎ)はせず。
おとな衆とおなじ様に山へのぼつて何をする。戻らぬか房若と引とめ給へは是かゝ様。なぜ
房若とおつしやる。わしが名は小太郎広文もうおとなじや。鬼神退治のお供して。鬼の子
ても殺さねは父の恥かすゝがれぬ。やつて下されかゝ様と踏(ふみ)しまれば母うへも《割書:ヲヽ|》けなげな
事よふいふた。ちゝごを無事で置まして今の詞をきかせたい。悦ひ給はん物を迚