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又嬉しきも涙成。諸任は坂中にておもだか次郎に追立られ。峯共わかず逃
のぼり。草にやかくれん土にや入らんとうろたゆる。小太郎は味方と心へ是なふ〳〵と呼
かくる。諸任見付なむ三宝。早鬼が顕たと地にくひ付てぞ卧いたる。親子の人も
興さまし。《割書:アヽ|》是々麁相な。そなたはそも誰人ぞ。こちは鬼ではないわいの。顔上て念を入
これよふ見やと笑ひ給へは。《割書:イヤ
》念入て見るに及ませぬ。有時は小坊主有時は女とお化なさるゝ
由。お噂とつくと承る。一時に二色は御念入程めいわく。鬼神退治致は平の惟茂。我等はけつく
其惟茂を亡(ほろほ)す橘の諸任。お恨請ん覚なし助給へとふるひける。おやこめぐはせおと
に聞諸任。父のるらうもきやつ故久作一家がほろびし遺恨(いこん)鬼より大じの敵ぞと。心
さかしき小太郎大音上《割書:ヤイ〳〵|》。己を橘の諸任とは我通力でしつている。惟茂殺すは己(おのれ)を
頼まず。鬼一口にかんでやる。どうでも己が太刀かたなの指様。此鬼共を退治するつら付じや。
待てをれがり〳〵とかんでくれよ。うたがはしくは誠の姿を顕(あらは)そか。わん〳〵〳〵と云けれは。《割書:アヽ〳〵|》
どふよくなこと御意なされな。退治する気みじんもなし。たち刀がきづかいならはこれ御らん
あれと大小からりと投(なげ)出す。おやこ追取するり〳〵とぬきはなしおろか也諸任。誠は我
こそ帯刀太郎広房が一子房若丸。惟茂将軍の家臣と成。元服して高巣の小