翻刻
気るは爰(こゝ)にやふぐすし竹斎(ちくさい)とて此程/都(みやこ)より
下里けりやぶに加うのものといふ事あり見せ
給へといひければ病人爰(びよう尓んこゝ)に/歌有(うたあり)とて
くすしには下手(へた)も上手(じやうず)もなかりけり
ひいき〳〵にと起の仕合(しやはせ)
とあるといふて此/竹斎(ちくさい)にかゝる
此/歌病人(うたびようにん)の申とは書(かき)たりけれとも下心を案(あんず)る
に竹斎より不学(ふかく)なる人/世間(せけん)へ用(もちい)られて
竹斎(ちくさい)はさもなきを申されけるにや唐(もろこし)にても
なるほとよき/医者(いしや)の世間(せけん)へ聞(きこ)へぬ人有また
さもなき人/大名高家(だいみやうかうけ)へ出入(いでいり)して物(もの)の見事に
なる人あり其よきいしやにて人のしらぬ人に
そばから申やうは扨々(さて〳〵)そなたはそ禮ほとに能々(よく〳〵)
事(こと)越きは免よきいしやにてさ様(やう)の身躰(しんたい)むきは
無調法(ぶてうほう)なる事也ちとどなたへも出入(いでいり)してよく
もなるやうにはせられいでといへはかの仁(じん)せし
されけるやうは工不工(こうふこう)は我(われ)尓ありとて医道(いだう)を
つとめたると津とめぬといふは我身(わかみ)にある事
なりうるうられざるは人にありとて人の用(もちひ)て
はやるそ用(もち)ひずしてはやらぬといふ事は人に
ありと云て手(て)まへ計(ばかり)を能(よく)つとめて外にか
まはぬ人ありけり
扨竹斎(さてちくさい)/病人(びようにん)をみて脈(みやく)の様子(やうす)を考(かんが)へ熱気(ねつき)
頭痛(づつう)むしなとのやうすを相尋(あひたつね)そ候へは病人(びようにん)申は