翻刻
たつねられし事/皆(みな)々これあると答(こたへ)けれはさぞ〳〵
と自慢(じまん)がほにて薬(くすり)をあたへけるまことに仕合(しやはせ)
と薬(くすり)きゝておこりおちけるそこにて奇妙(きめう)なる
事(こと)とて薬(くすり)のはいざいを問(とへ)は竹斎(ちくさい)こたゆるは
先(まつ)ふる畳(たゝみ)の黒焼(くろやき)に十四五年の古(ふる)がみこの黒(くろ)
やきにて候と申をは是(これ)は珍敷薬種(めつらしきやくしゆ)かなとて子(し)
細(さい)を問(とへ)は我等(われら)が此病(このやまひ)を煩(わつらは)し時(とき)ふるきかみこ四
五でうきせ古畳(ふるたゝみ)を上(うへ)にをきけれは其侭(そのまゝ)なを
里たりと云(いふ)
さて此(この)こゝろを案(あんす)るに紙子(かみこ)にては寒(さむ)さをふせ
ぎあたゝめん所其内(ところそのうち)にあり又畳(またたゝみ)はおもくして
ふるひになゝく所(ところ)をおししつむる心/内(うち)にあり
けり是(これ)は又(また)いしやの/薬(くすり)に/不吟味(ふぎんみ)なる事を書(かく)也
薬(くすり)といふものは其薬(そのくすり)のなりふりそれ〳〵の形(かたち)に
よりて様子(やうす)あり先天(まつてん)を飛(とび)かけるもの地(ち)をはし
るもの水(みづ)にすむもの有情(あるじやう)と非情(ひじやう)とそ連〳〵
のかはりありて天地陰陽(てんちゐんやう)の道理(だうり)をそなへ陽(やう)
中(ちう)の陽又陰中(やうまたいんぢう)の陰或(ゐんあるひ)は陰中(ゐんぢう)の陽(やう)又は陽中(やうぢう)
の/陰(ゐん)なとゝ云事(いふこと)ありて五/蔵(ざう)六/府(ふ)/皮膚(ひふ)/骨髄(こつずい)
へわたるそれ〳〵の/考(かんがへ)あり又はそれ〳〵の道具(だうぐ)に
よりて性(しやう)のかはる事有とかく薬(くすり)は此ものは
木(き)ぞ竹(たけ)ぞ金(か年)ぞ土(つち)ぞけたものそと其者(そのもの)のた
しかなるにて其理(そのり)をつくし又は何(なに)とも志れ
すともすいぞあまいそ志はゝゆいそ苦(尓が)いそ辛(から)ひ